野球は、日本人に馴染み深いスポーツのひとつとして、長きに渡り愛され続けていますが、野球で使う道具で思い浮かぶバットやグローブのお手入れ方法は誰もが当たり前に知っていることではないでしょう。しかし確実にそれは存在します。汚れてきた道具を見て「どうすればいいんだろう…」と首をひねってしまっている、野球少年・少女を持つ親御さん、あるいは、社会人野球を楽しんでいる方には目を通してほしい、「グローブの手入れ方法完全マニュアル」をご紹介します。
目次
グローブの手入れに必要な道具
グローブの手入れをしようとする際に、新たに購入しなければならないといったようなものは、あまり多くありません。家になければ準備すべきなのはオイルとローションくらいです。必要なのはその二つの他に、雑巾もしくは柔らかい布、そしてブラシがあれば事足ります。
ブラシは、あればメンテナンス専用のグローブブラシが望ましいですが、使わなくなった歯ブラシでも代用できます。
また、汗のかきやすい夏場や、天候の悪いときにグローブを使用した場合には、新聞紙やタオルも適宜用意しましょう。これは、その都度オイルを塗って乾かすことがグローブから嫌なニオイを取る最善の方法だからです。
グローブの手入れ方法
グローブ全体の汚れを落とす
まずはグローブ全体の汚れを落とします。これが最も重要な作業とも言え、手入れの完成度を左右することでもあります。布か乾いた雑巾、もしくはブラシ類でグローブの汚れを擦り落としますが、このとき指に布を巻くようにして、グローブの指先に向けて擦っていきましょう。グローブは革で作られていますが、革の繊維はグローブに対して縦なので、横方向へ擦っても汚れが落ちにくいからです。
頑固な汚れにはローション
擦っただけでは綺麗にならない頑固な汚れには、ローションを使用します。布にローションを少量とり、薄く伸ばすように塗っていきます。汚れが浮き出てきたら、さらに擦り落として、第一段階は終了です。
オイルを塗る
次にオイルを塗りますが、その前に、グローブの指の根元部分などを特に重点的に手で揉み、柔らかくします。ある程度柔らかくなったと感じたら、オイルを薄く伸ばすように塗りましょう。しかし、全体にまんべんなく塗る必要性は必ずしもありません。ザラザラしていて、言ってみれば「元気がないな」と思うところに丁寧に塗ればオーケーです。特にチェックすべきポイントは捕球面です。捕球の際の摩擦によってザラザラになりやすく、また捕球に影響しやすい部分ですから、重点的に確かめましょう。
拭きあげる
もう塗るべきところはないと感じたらから拭きです。この一手間がグローブの仕上がりを綺麗にしてくれます。から拭きすることによって、表面に残っている、必要のないオイルを取り除くと同時に、グローブにツヤを生んでくれるのです。から拭きまでやり終えたらあとは乾かして終わりですが、このとき、捕球面を下にしてグローブを立て、風通しの良いところに置いて乾かすことも型崩れを防ぐために大切です。
長持ちさせるコツ
植物を大切に育てたいからと言って水のやりすぎが好ましくないのと同じで、グローブを大事に思うあまりにオイルを塗り過ぎるのもよくありません。オイルを塗り過ぎるとグローブが重たくなってしまうばかりでなく、革が柔らかくなることで型崩れを起こす原因にもつながります。オイルを塗るのはあくまでも手入れの一つであって、塗り過ぎや、それだけしかしないということは適切な手入れとは言えないのです。
グローブの中を濡らさない
その他にグローブを長持ちさせる上で大切なこととしては、グローブの中を湿らせないことが挙げられます。使用後は必ず風通しのいい所にグローブを置いて乾かすことが、塗ったオイルをなじませるだけでなく、においを防ぐにも役立ちます。また、守備用の手袋を使用することも一つの手と言えるでしょう。守備用手袋はもともと捕球時の衝撃を抑えるために作られたものですが、グローブのにおい対策にも利用できます。手袋が汗を吸収してくれるおかげでグローブに汗がつきにくくなり、手の汗がグローブに付くこと、および、それによるにおいを防げるので、とても便利です。
雨に濡れたときや夏場のにおい対策
グローブを雨の中で使用したり、普段以上に汗をかいたりなどして、水分を多く吸ってしまったという時には、早めの対策が必須です。基本の手順同様、乾かしてオイルを塗りますが、新聞紙も用意します。
はじめに、布やブラシで汚れを拭き取ったら、グローブの指を入れる部分に、くるくる棒状に丸めた新聞紙を詰めます。手のひらの部分にはタオルをぎゅっと押し付けてもよいでしょう。風通しの良い日陰で乾かしますが、例えば梅雨の時期など天候の理由で外に干しづらい場合には、扇風機を使うのも便利で賢い手です。
どれくらいの頻度で手入れすべきか
グローブを手入れすべき頻度は、毎日行った方が良い事と、使った後だけで十分な事の二通りに分かれます。
グローブを使ったらその日のうちに必ず、泥や砂などの汚れを布やブラシで取り除き、そしてオイルを塗っておきましょう。グローブは使うことで常に衝撃を受け続けるので、放置したままでは傷んでいく一方ですが、オイルの塗り過ぎはかえってグローブの寿命を縮めてしまいます。使った後に塗るだけで十分なのです。
一方で、グローブのために毎日なるべく続けた方がよいお手入れもあります。それが、ローションを塗ること、そして布や雑巾、ブラシで汚れを丁寧に取り除いておくことです。そしてやはり、風通しのいいところにグローブを立てて乾かします。一見地味に思える作業であっても、毎日グローブに優しく触れてやることは、長く使っていく上でとても大切で欠かせない労わりです。グローブの元気さを保ち、よりよいプレーに結びつけて野球を楽しむためにも、最低限の手をかけましょう。