毎日のオフィス通勤や、行事や儀式に欠かせないスーツ。ワイシャツやブラウス、パンツだけなどとは異なり、人によってクリーニングに出す頻度もかなり異なります。一度お願いすると、意外と日数も費用もかかるもの?クリーニングの出し方次第では、今よりもっと長い期間、お気に入りの一着を楽しめるかもしれません。今回は、そんなスーツクリーニングの基本から最新情報までをお届けします。
目次
スーツクリーニングを頼む頻度はどれくらいがベスト?
スーツのクリーニングの頻度は、スーツのタイプと着用する頻度が大きく変わってきます。素材や仕立てと縫製が、素材によっても大きく異なるため、スーツのタイプごとに適切なクリーニングの頻度があります。
夏のスーツ
- 夏のスーツは「背抜き型」と言われ、裏地が大部分カットされており、軽量で風を通します。
毎日着続けることで型崩れを起こしますので、最低でも3日程度のローテーションで着用されている方が多いです。着用する頻度が高い、または汗をかきやすい方は、2週間に1回程度のクリーニングが一般的です。
冬物・厚手のスーツ
冬物の厚手のフエルトタイプや、ウールギャバなど撚糸による織地タイプは、頻繁にクリーニングに出してしまうと、生地が傷んで部分的に禿げあがったり、糸切れしたような見た目になってしまいます。
- こういったものは、1シーズンに1回程度のクリーニングを出すのが一般的です。
汗を良くかく人
汗を良くかく人は、通常より頻繁にクリーニングに出した方が良いでしょう。においや汚れはもちろんのこと、汗に含まれる水分による膨張と毛羽立ちや、塩分・タンパク質汚れなどにより、記事の傷みが激しくなってしまいます。
とくに男性の脂汗や、ワキガなどによるニオイが気になる方では、毎日のお手入れを欠かさず行いながら、黄ばみ防止やニオイ防止の対策が必要。
- 特に夏場のスーツの素材に多い化学繊維のスーツは、匂いや雑菌が繁殖しやすいので、さらに短いサイクルでクリーニングに出すのがオススメ。
- また、夏場のクリーニングでは、ドライクリーニングと水洗いがともに可能な繊維の場合、普段はドライクリーニング、シーズン終わりには水洗いなどと使い分けることで、繊維を美しいまま長持ちさせることもできます。
どれくらいの日数がかかる?
最近はさまざまなクリーニングのタイプやメニューが用意されています。
ドライクリーニングは3日ほど
ドライクリーニングは、有機溶剤を使って極力水を使わない洗い方になります。日数は即日から3日ほどでできるお店が多いようです。
ランドリーは1週間程度
ランドリーは50〜70度のお湯でアルカリ剤と洗剤、酵素剤や漂白剤などを中心に洗い上げたあと、高温プレス仕上げするものです。
日数は裏地が無いスーツで化繊や綿素材などの物では即日から可能です。やや厚手の綿の裏地つきスーツなどでは一週間以内程度が目安です。型崩れを高温のアイロンなどで整える作業や、深部まで型崩れなく自然に乾燥させる作業に時間が必要なようです。
ウエットクリーニングは最低1週間ほど
ウエットクリーニングは、型崩れや繊維の表面の縮みや荒れを防ぐことのできる特殊な洗剤と水を使用するクリーニングです。シルク、ウール素材などのドライクリーニング衣料にも、用いられる技術です。
夏冬物の違いのほか、肩パッドや襟などの厚手部分の有無、素材により異なりますが、最短で7日程度の所が多くみられます。繊維の奥に頑固にしみ込んだ汚れをしっかりと落としきるため、ウエットクリーニングのダブル洗浄といった、さらに時間のかかるコースも存在します。
職人の勘や判断が必要な、しみ抜きの衣類全体版のような位置づけでもあり、仕上がり日程が読みにくいため、通常はシーズン終わりに、あるいは、油や料理のシミなどが頑固についてしまった直後などにだけ利用するのがよいでしょう。日数はあくまで目安で店舗・時期によっても、変動はあります。
スーツの即日仕上げとは?
スーツの即日仕上げをご存知でしょうか?「即日仕上げ」とは午前中にスーツをクリーニングに出すと、その日の夕方には仕上がるサービスのことです。当日仕上げや、即日クリーニングなどとも呼ばれています。その日のうちにクリーニングが仕上がる便利なサービスなのですが「どんなサービスなの?」という人にもわかるように、基本的な流れを紹介します。
- まずスーツの即日仕上げをおこなっている店舗を確認しておきます。
店舗によっては即日仕上げに対応していないこともありますので、対応可能な店舗を見つけておきましょう。 - スーツを用意します。
午前中までにスーツをクリーニングに出しに行きます。午前中までにクリーニングに出さないと、即日仕上げが出来ない場合がほとんどですので注意して下さい。 - クリーニングに出す際には「即日仕上げでお願いします。」と伝えてます。
看板などに「即日仕上げ」と書いてあっても、その日のすべての衣類を即日で仕上げてくれるわけではありませんので、スーツを即日で仕上げで受け取りたい時は自分から伝えて下さいね。 - 夕方頃にはスーツが仕上がっているので指定された時間に必ず受け取りに行って下さい。
注意点として、即日仕上げでは染み抜きや撥水加工などのオプションの追加が出来ません。追加料金がかかってしまう場合もありますので、事前に料金について店舗に確認しておくと安心です。スーツの即日仕上げは出来るだけ早く仕上げて欲しいという時に、とても便利なサービスなので覚えておくと良いでしょう。
スーツのクリーニング、日数が伸びる場合はどんな時?
スーツのクリーニング、日数が伸びる場合は大きく2つの事例があります。
まずは、①ウェットクリーニングをした場合です。ウェットクリーニングは色落ちや型崩れなど洗濯トラブルを起こさないよう水に溶ける汚れを水洗いで落とすクリーニング方法でクリーニングの中でも難しく、技術が必要なので店舗によって差がでます。最低でも1週間以上はかかることがほとんどなので日数が伸びます。
あとは、②オプションをつけた場合にも日数が伸びます。撥水加工や防虫加工、しみ抜きなどを追加すると通常のクリーニングにオプションを付け加えていくため、どうしても日数が伸びてしまいます。
その他に、スーツに使われている生地や糸が特殊なものやオーダーメイドのスーツなどは日数が伸びる場合がほとんどのようです。
着る予定があるスーツは、余裕を持ってクリーニングにだすのがオススメです。
どれくらいの金額がかかる?
総務省統計局が月次で発表している小売物価統計調査によると、2017年9月、全国のスーツ(男性背広)のクリーニング料金は、全国主要都市のうち、最も安い神奈川県川崎市で897円。もっとも高い北海道函館市で1728円と、なんと倍近くもの幅があります。ちなみに、3大都市については以下の通りです。
- 東京23区 1225円
- 名古屋 1230円
- 大阪 1085円
女性のスーツのクリーニングの基本料金では、男性料金に比べて、数十円〜300円ほど安く設定されているところが多いものの、大きなデザイン上の部分ではスカートや襟部分などの仕上げ、特殊な立体裁断などによって追加料金が数百円〜1000円ほど発生します。
また、色糸や手かがり糸、金糸などの特殊糸、フエルト圧着素材などの特殊素材のスーツでも、一般的なドライクリーニングや水洗いでも、別途料金が必要となるケースがあります。
宅配クリーニングというサービスもある
衣類をクリーニング に出したくても、店舗が近くに無いと持ち運ぶ手間もかかってしまいますし、仕事や家事で忙しい一人暮らしや共働きだと、営業時間内にクリーニング店に出すのが難しいこともあります。
最近は宅配クリーニングというサービスも人気が出てきています。自分で洋服をクリーニング店に持っていくのではなく、自宅から洋服を送り、クリーニングされた洋服が家に送られてくるという便利なサービスです。保管付きのサービスを利用した場合、温度・湿度管理された専門倉庫で大切に保管され、次に使用するシーズンに返送されます。
ネットで24時間申し込み可能な上、仕上がりに満足できない場合無料で再仕上げができるサービスもあります。店舗と比べて特別に高いということもなく、細かくオプションも提供されており、利便性の高いサービスを受けられるのが特徴です。近年、首都圏を中心に利用者が増えており注目されています。
スーツをクリーニングに出すときの気を付けるべきポイント
スーツをクリーニングに出す場合、注意するポイントがいくつかあります。
ポケットを確認
- まずは、スーツのポケットに何も入っていないことを確認しましょう。
お店にスーツをクリーニングに出した時に店員さんが確認してくれますが、ほとんどの場合預かってもらうことはできません。その場で受け取って持ち帰ることになるので、ポケットの中の確認は必ずおこなって下さいね。
カバー・ハンガーは外す
- また、スーツを自宅のクローゼットなどに保管している際にスーツ専用のカバーやハンガーにかけていることが多いと思いますが、これは外しておきましょう。
これらも店頭で持ち帰ることになります。最悪、破棄されてしまうこともありますのでカバーやハンガーの類は外してからクリーニングに出しに行きましょう。
汚れ・シミをチェック
あとは、スーツ自体に汚れやシミがないか?ほつれている場所はないか?の確認をしておいて下さい。
- クリーニングにだす時に自分と店舗側のお互いでスーツの状態を把握しておくと相談も出来ますし、トラブルの回避にもなります。
スーツ上下セットで出す
- そして、スーツは必ず上下セットでクリーニングに出して下さいね。
スーツのパンツのみやジャケットのみでクリーニングに出していると、いつの間にか上下の色が違ってきてしまい、セットで着ることが出来なくなることもあります。大切なスーツを長く愛用するには、上下セットでクリーニングにだすのが基本です。
そもそも自宅でスーツは洗濯できるの?
自宅でスーツを洗濯することは出来ないわけではありません。スーツの内側の横に付いているタグ「洗濯表示マーク」によります。
「洗濯表示マーク」には様々な種類があり、「水温は40度以下で洗濯機洗いOK」「ドライクリーニングはOK」「水温は30度以下で弱めの手洗いはOK(洗濯機はNG)」「水洗いNG」などがあります。水温の数字の表示は違う事がありますのでまずは確認してみて下さい。洗濯や手洗いOKの表示になっているスーツは自宅で洗濯することができます。
ですが「水洗いNG」と表示があるスーツは水洗いが型崩れや縮みなどの原因になり最悪の場合、着れなくなってしまうことになるので自宅で洗濯する事は出来ません。
- 自宅でスーツを洗濯する時、生地が化繊などであれば洗濯が出来ますが、ウールなどの生地は縮みが大きく生じますので、自宅では洗濯しないほうが良いでしょう。
自宅で洗濯する時の流れと注意点
洗う前のチェック
まずはスーツの裏などで色落ちしないか確認して下さい。洗剤の原液を少しつけ5分程度放置後、ティシュなどに色落ちがないか?をチェックしましょう。色落ちすることを確認した時はここで洗濯することを中止して下さい。
手順
- ホームクリーニング用の洗剤を用意します。
- 洗濯機で洗う場合は、洗濯ネットに必ず入れてドライコースや手洗いコースで洗濯して下さいね。
- 手洗いの場合は、大きめのおけなどに水を入れ、スーツを浸け洗剤を入れて優しく押し洗いして下さい。
- 洗いが終わったら洗濯機の脱水を1分程かけるか、手で押しすすぎをします。長い時間の脱水は型崩れの原因になるので注意して下さいね。
- 上着は肩が崩れないよう幅がきちんと合うハンガーなどに吊るし、伸ばして陰干しをします。
肩幅とハンガーが合っていないと型崩れの原因になるので気をつけて下さい。 - 完全に乾く前に、当て布をあてアイロンをかけたら自宅でスーツの洗濯は完了です。
注意点
- しかし、有機溶剤などのクリーニング店舗専用洗剤を使って落とす油汚れや、ウェットクリーニングでおこなう汗抜きなどは、自宅ではおこなえませんし、愛用のスーツの型崩れや生地の痛みを考えるとクリーニングに出すことがやっぱり安心ですね。
どうしても洗濯に出せない緊急時や最終手段として、自宅でスーツの洗濯をする方法を覚えておくと良いかもしれません。
スーツを長持ちさせるためには保管方法に気を配ろう
せっかくスーツをクリーニングしても、保管方法が正しくないなら台無しです。スーツは正しく保管することによって長く着ることができます。スーツの天敵は日光とホコリ、それと湿気です。太陽の光に当たり続けるとスーツは変色してしまうので、必ず日陰に吊るして保管します。
月に1回ブラッシングをする
保管しているスーツは月に1回くらいの頻度でブラッシングをしてホコリを払いましょう。ブラッシングはスーツの上から下へとしていくのが正しいやり方です。ホコリが溜まりやすい裾の裏も忘れないでください。ブラシは馬毛素材がおすすめです。
湿気対策をする
そして、湿気も万全にしましょう。日本の気候は多湿なのでスーツがダメージを受けやすいです。スーツを吊るしている部屋の窓を定期的に開けて換気したり、乾燥材を使ってください。また、木製のハンガーはスーツの湿気を吸収してくれます。
ワイシャツも保管や手入れの仕方次第で長く着られる
ワイシャツはたたんで保管する方法とハンガーに吊るして保管する方法があります。たたんで保管するのは、皺がつきやすいため、長期間保管するのには向いていません。たたんだシャツの上に別の服を重ねるとはっきりと皺がついてしまうので、避けるべきです。ハンガーに吊るすと皺はつきにくいですが、日の光に当てないように注意してください。
洗濯するときに気をつけるポイント
- また、ワイシャツを家で洗濯するときは、袖口や襟元に食器用洗剤をつけて部分洗いをしてから洗濯機に入れてください。
袖口等は皮脂汚れがつきやすく、脂を分解してくれる食器用洗剤を使うときれいになります。洗濯機に入れるときは洗濯ネットを使って、脱水時間を短めに設定します。
アイロンがけのポイント
アイロンがけをするときには、スチームタイプの出力が高いアイロンを使うのがおすすめです。霧吹きでアイロン用スプレー糊を吹きかけるとパリッと仕上がります。
スーツの大敵になる汚れと間違った保管方法
衣服の汚れは水溶性と油溶性の2種類に分けられます。水溶性の汚れには、しょうゆ等の調味料やジュース、肉汁、アルコール飲料といった飲食物が関係する汚れが多いです。
汚れは臭いの元に
身の回りにある油溶性汚れになる品は、グリースや口紅などの整髪料や化粧品、牛乳やマヨネーズなどの脂肪や油分を多く含んだ食品が挙げられます。こうした汚れを放っておくと、不快な臭いの元になるので早めにクリーニングしてください。
クリーニング後のビニールは外す
また、誤った保存方法はスーツを早くダメにしてしまいます。クリーニング店からスーツが戻ってくるとビニールがかかっています。このビニールをしたままハンガーに吊るすのはNGです。ホコリよけにはなりますが、ビニール内は湿気が溜まりやすいのでカビの原因になります。
クローゼットにスーツをしまったままにするのもよくありません。クローゼット内も湿気がこもりやすい環境なので、月に一度は外に出して風通しのよい日陰に干して湿気を飛ばすようにしましょう。