革靴のお手入れに欠かせない道具といえばブラシです。ブラシは何かこびりついてしまったような頑固な汚れを擦り取るためのもの、というイメージがあるかもしれませんが、革靴のお手入れをする際には様々な場面で活躍します。そこで今回はどのようなブラシがあるのか、どうやって使い分ければ良いのかなどについてお話ししていきます。
目次
そもそもブラシって何のために使うの?
まず革靴のお手入れをする際にブラシを何のために使うのかについてお話ししていきます。 「革靴のお手入れはブラシに始まりブラシに終わる」 と言っても過言ではないほど革靴のお手入れにおいてブラシは大活躍します。具体的には「ホコリや泥を落とす作業」「クリームをまんべんなく伸ばして革靴表面全体に馴染ませる作業」「表面に残ってしまった余分な靴クリームを拭き取る作業」「革靴にツヤを出す作業」全てにブラシを用います。
ブラシにも様々な種類がある
これだけたくさんの作業にブラシを使うわけですから、1つだけブラシを持っていれば良いというわけではありません。そもそも一口にブラシと言ってもブラシによって毛の素材が異なりますし、ブラシ自体のサイズも異なります。それぞれの作業に適したブラシというものがあるのです。
クリームを塗るときに使うブラシ
革靴のお手入れをするときは最初にホコリや泥を落とした後、靴クリームを全体に塗っていきます。その際布を用いてクリームを塗っていく方もいますが、布にクリームが吸収されてしまいどのぐらいの量のクリームを塗ったのかわからなくなってしまうという欠点と、布の繊維が革靴にこびりついてしまいそれを取り除くのにかなり手間がかかるという欠点があります。
クリームの適量がわかりやすい
ですのでクリームを塗る際には布ではなく、 「豚毛でできた小さなブラシ」 を使うことをオススメします。豚毛でできたブラシならばクリームを塗っても毛が革靴にこびりつくということがありませんし、小さなものを使用することで縫い目やコバ周りなどの細かい部分にもクリームをムラ無く塗ることができます。
クリームを伸ばすときに使うブラシ
小さなブラシで塗ったクリームを靴全体に伸ばして馴染ませていく作業で活躍するのが 「豚毛や化学繊維でできた大きなブラシ」 です。クリームを靴に馴染ませるとはどういう意味かというと、クリームを均質に伸ばし余分なクリームを取り除くと言う意味です。靴の通気性を保ったまま水分と油分を靴に補給していくというのがお手入れの目的ですから、靴全体にクリームをムラなく馴染ませるというこの作業は、靴のお手入れの中で最も重要な部分だといえます。
硬めの大きなブラシが最適
この目的を達成するためには、ブラシにある程度の力が必要となります。柔らかいブラシではクリームを満遍なく散らすことができないのです。ですのでこの作業には硬くてコシのある豚毛や化繊でできた大きなブラシが最適であるといえます。
細かいほこりを落とすときに使うブラシ
靴箱においておくだけでも靴にはたくさんのほこりが付いてしまいます。ですのでクリームを塗る前には、そのような靴についてしまった細かいほこりをしっかりと落としましょう。そもそもほこりはカビの大好物なので、毎日靴を履く前と靴を履いた後にはブラシでほこりを落としておいた方が良いでしょう。
柔らかくて大きなブラシが最適
靴についた細かいほこりを落とすときオススメなのが 「馬毛でできた大きなブラシ」 です。馬毛というのは豚毛や化学繊維と比べて毛先が細く柔らかいのが特徴で、粘度のあるクリームを伸ばすのには向いていませんが靴表面についた細かいほこりを落とすのには最適です。さらに、毛量が多く毛足の長いブラシを使用することで、汚れの溜まりやすいコバの部分やシワの部分のほこりもしっかりかき出すことが出来るのでオススメです。
ブラシは洗ったほうがいい?
ブラシを購入したばかりの頃は毛先がサラサラしているのですが、何度か使用していると毛先にクリームが付着してしまったりして、毛先の感触が全く違うものになってしまうことがあります。そんなとき「ブラシは洗わなくて大丈夫なのか」という疑問を持たれる方も多いかもしれません。ブラシを洗うかどうかはそのブラシの用途によって変わります。
洗うのはクリームを塗るブラシだけ
まずほこりを落とすためのブラシについてですが、このブラシはただ靴の表面のほこりを落としているだけなので洗う必要はありません。次にクリームを塗るためのブラシですが、このブラシは何回か使っているうちにクリームが毛先に固まってきてしまうので、毛先が硬くなってきたなと感じたら洗うようにしましょう。最後にクリームを靴に馴染ませるためのブラシですが、このブラシにはクリームがべっとりとつくことがないので洗う必要はないと考えられます。
ブラシをうまく使い分けて、手入れを楽しもう
以上のようにブラシにはたくさんの種類があり、靴のお手入れのどの過程で使うかによって、使用すべきブラシの種類も変わってきます。たった1つのブラシで靴のお手入れの全てをこなせるような万能ブラシは存在しないのです。いちいちブラシを取り替えなければならないのが面倒だと感じる方もいるかもしれませんが、ブラシを用途に合わせて使い分けると靴のお手入れに掛かる時間も短くなりますし、何よりお手入れの仕上がり具合が違ってきます。
コレクション感覚でブラシを集めてみるのも◎
靴というのは、多くのデリケートなパーツが組み合わさることで完成します。そのデリケートなパーツひとつひとつのコンディションがいいときに、靴は最高の輝きを見せるのです。お手入れに欠かせないブラシは価格も決して高価ではありませんので、コレクション感覚で色々なブラシを集めて楽しみながら、最高の輝きを持った靴を履けるようにお手入れしていきましょう。
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