エアコンの使い方によっては、こまめに電源のオンオフをするよりもつけっぱなしにすることで電気代を安くすることが可能です。一般的には電気をつけっぱなしにしておくと電気代がかかりますが、どのような条件だと電気代の節約につながるのでしょうか。関西電力による調査結果を紹介するとともに、電気代節約に関するさまざまな事例を説明していきます。
目次
冷房をつけっぱなしにした場合
関西電力とトータルシステム研究所が発表した論文「家庭用エアコンの連続運転と間欠運転の省エネ性比較」によると、ある条件下で連続運転にすることで省エネ効果が得られるという結果が出ています。
外気温度が35度、設定温度28度で室温が安定した状態で、120分間運転を続けた時の消費電力に対し、60分間停止後に再度60分エアコンを稼働させた時の消費電力は約24パーセント増加しました。室内にある家電電気や照明などの発熱量が少ない場合は、さらに省エネ効果が期待できます。
冷房の場合、エアコンの電源オンオフを繰り返す間欠運転をすると、消費電力が逆に増えてしまうことがあります。少しの時間だけ外出するような場合は、冷房のつけっぱなしが節約につながります。
暖房つけっぱなしの場合
外気温度が7度の環境下においてエアコンの温度を18度に設定し、室温が安定した後に120分連続で運転した場合に対して、60分停止後に再度60分間運転させた場合には約33パーセントの省エネ効果が得られました。
停止時間が長くなればなるほど、消費電力の節約効果がさらに高まることが論文「家庭用エアコンの連続運転と間欠運転の省エネ性比較」によって導き出されています。室内の断熱性能やエアコンの機種によって多少のばらつきがあるものの、使わない時にはエアコンをこまめに切ることで電気代が安くなります。
できるだけ電源をオフにすることが節約効果につながるため、少しの時間だけ外出する場合でも、エアコンの電源を切ることが大切なポイントです。
冷房と暖房の運転メカニズムの違い
一般的なエアコンの冷房運転では、電源を入れてから冷房が効き始めるときに最も電力を消費します。設定温度に対して室温が高い場合に、部屋を一気に冷やそうとする性質があるためです。
室温が設定温度になると部屋の冷気を保とうとしますが、このときは電力をあまり消費しません。逆に、エアコンを停止させると室内の温度が上昇し、再運転時に電力を消費させてしまうメカニズムです。
暖房の場合は、部屋を暖めるための温風を高温に保たせる必要があり、エアコンの内部で稼働と停止を繰り返しているため、消費電力を増加させる要因の一つになっています。
冷房はつけっぱなしが効果的で、暖房ではこまめの電源オンオフによって省エネ効果が得られるため覚えておきましょう。
設定温度を見直すことがすぐにできる節約
エアコンの消費電力を抑えて電気代を節約する最もポピュラーな方法の一つは、適切な設定温度による使用です。
一般的に、冷房の設定温度を1度上げると消費電力を約13パーセント節約することが可能であり、暖房の設定を1度下げることで約10パーセントの省エネ効果があります。エアコンの機種や部屋の気密状態にもよりますが冷房の場合、設定温度を27度から28度に切り替えて使い続けると、1シーズンあたり710円程度の節約効果が得られます。
クールビズやウォームビズで推奨されている温度を目安にすることで快適な室内空間が得られるだけでなく、家計の節約にもつながります。夏季の室温は28度、冬季の室温は20度を目安に設定温度を決めるようにしましょう。
冷房の電気代をさらに安くするためには
室外機の運転効率を上げることで、電気代の節約になることが知られています。室外機の周囲を物や雑草などで覆われていると、室外機から発生する熱がこもってしまい、運転効率の低下につながります。室外機の周囲には物を置かないようにしておき、雑草や枯葉などがある場合は定期的に清掃しておくことが無難な対応です。
室外機を設置している場所によっては運転効率が低くなるケースもあります。室外機の背面と、壁との間が狭くなると運転効率が低くなるため、できるだけ隙間を多くとっておくことが節約効果につながります。
エアコンの風向きにも注意をする必要があり、風向きを水平にすることで部屋の上方にある空気と冷気が混ざりやすくなり、室温が安定するため消費電力を抑えることが可能です。
暖房の電気代も工夫次第で安くできる
室外機の周囲に熱がこもらないようにすることが運転効率を維持する方法の一つですが、冬期の場合は防雪対策をすることが大切なポイントです。室外機に雪が積もり、付着したままの状態でエアコンを使っていると運転効率が低くなってしまうため、除雪をしてから使うようにします。
エアコンの風向きは、暖房の場合は下向きにして気流の経路を確保することが最も効果的です。エアコンフィルターに埃や汚れが付いていると運転効率が下がり、無駄な電力を消費することになるため、定期的に清掃することが大切です。
また、窓から入る日差しを積極的に取り入れることで、必然的に部屋の温度が上昇し、節約効果につながります。サーキュレーターがある場合は、エアコンとの併用で電気代の節約につながることがあります。サーキュレーターによって発生させた風が室内を循環させるだけでなく、室温を均一化する効果が期待できるため覚えておきましょう。