エアコンの室外機に日よけがつけられているのを見たことはないでしょうか。なぜつけられているのか、つけられていないとだめなのか、気になるところです。実際にエアコンを取り付ける場合、必ず室外機にカバーをつけなければいけないわけではありませんが、それでもつけている家庭があるということは、やはり何かしらの効果があるのです。エアコンクリーニングのプロ集団、イオングループのカジタクが解説します。
目次
エアコンの室外機の役割
エアコンといえば部屋の壁面上部などに設置されているユニット(装置)を思い浮かべる方も多いでしょう。壁面のユニットがエアコンであることは間違いありませんが、このタイプのエアコンはセパレートタイプと呼ばれており、室内のユニットとは別に屋外に室外機が設置されています。室内ユニットと室外機が正常に接続されることで、冷暖房などの機能を発揮するのがセパレートタイプのエアコンです。
一方、窓用エアコンなどと呼ばれ、窓にはめ込むタイプの機種には独立した室外機がありません。
普段、何となく目に入ることがある程度で、あまり意識することがないかもしれないのが室外機です。しかし、 室外機の好不調は冷暖房の効果に大きく影響します 。快適なエアコンの性能を維持するためには、室外機の役割を知ることも重要です。
屋内ユニットと室外機は配管でつながっており、配管内には冷媒と呼ばれる、循環するガスが入っています 。冷媒が配管内を循環して熱を運ぶことにより、部屋を冷やしたり暖めたりするのがエアコンの仕組みです。
冷房運転時には、室内ユニットの熱交換器を通過した空気の熱が冷媒によって室外機の熱交換器へ運ばれ、屋外へ放出されます。屋外に放出される仕組みは、室外機のコンプレッサーによって冷媒が圧縮されることで、屋外の空気よりも冷媒のほうが熱くなるためです。熱が除かれた冷たい空気が室内ユニットから吹き出すことで、涼しく過ごせます。
暖房運転時は、働きが逆になり、部屋に暖かい空気が送り込まれることで暖房ができるのです。
室外機の基礎知識
室外機を運用するにあたって知っておきたい基礎知識を解説します。
室外機に直射日光がNGとされる理由
エアコンの室外機は直射日光がNGとされています 。その理由は、室外機に直射日光が当たり、周辺の温度が上昇するとエアコンの効きを悪くしかねないことです。前述のように、エアコンは室外機から熱を放出することで冷房を行います。冷媒が外の空気よりも熱いことで、熱を効率よく放出できますが、室外機の周辺温度が直射日光によって上昇してしまうと、冷媒との温度差が小さくなったり逆転したりしかねません。
つまり、室外機の周辺温度が高いと、冷媒によって熱を放出する働きが追い付かなくなり、部屋を適温にするために、余計な電力を使うことになってしまいます。とくに、夏場に直射日光が長時間当たるような状況は好ましくなく、可能な限り避けたい状況だといえるでしょう。
室外機の近くに大きなものを置くのもNG!
直射日光が当たらなければ、その他の状況は気にしなくてよいというわけではありません。室外機の吹出口や吸込口のすぐ近くが物で遮蔽されてしまっていると、空気の正常な循環が阻害されやすいといえるでしょう。
空気が問題なく循環していないと、熱交換器の放熱や蓄熱の効率が下がるため、冷房時も暖房時も効果が低くなってしまいかねません。例えば、暖房時にせっかく排出した冷たい空気が滞留し、再び取り込んでしまうケースが考えられます。部屋を適温にするために電力を余計に消費したり、無理な運転で故障の原因になったりするため、 室外機の周辺には大きなものを置かないように注意が必要です。
また、例えば冬場の積雪などで吹出口や吸込口が塞がれてしまうこともあるため、天気予報で降雪が考えられるときなどは、注意深く様子を確認する必要があります。
室外機は雨にさらされても問題ない
直射日光や積雪に注意すべき室外機ですが、 雨については気にする必要がありません 。雨にさらされると室外機が劣化してしまうのでは?という不安を持つ方もいるようですが、屋外での使用を前提に設計されている室外機は、雨にさらされても問題なく運転できます。
もちろん、雨がかかっても問題がないというだけであり、浸水が酷いとか、水没するような状態は好ましくありません。室外機の内部にある基盤に水が入ると、故障してしまうおそれがあります。とはいえ、一般的な室外機の設置形態では、雨で水に浸かることは考えにくいでしょう。低地で水が入るおそれがある場合には、設置場所の工夫がなされていると考えられます。
室外機には、メーカーや製品ごとに定められた「必要余白スペース」がある
エアコンが予定している性能を発揮するために、 室外機にはメーカーや製品ごとに定められた「必要余白スペース」 があります。少なくとも、これだけの距離をとらなければ、風通しが悪く効果を期待できないと考えておくとよいでしょう。
以下で代表的なメーカーについて、必要余白スペースを紹介します。
※各メーカーとも、その他の条件により下記の数値と異なる場合がある点に注意が必要です。個別の設置条件については、メーカーや工事店などに確認してください。
Panasonicの場合
大手家電メーカーのPanasonicでは、エアコン室外機の設置スペースを以下のように定めています。
左側のスペース…10cm以上
右側のスペース…30cm以上
前面のスペース…20cm以上
背面のスペース…5cm以上
上面のスペース…原則として開放
そのうえで、3方向が開放になるように設置することを求めています。
日立グローバルライフソリューションズの場合
次に日立の一般的な例を確認します。
左側のスペース…10cm以上
右側のスペース…20cm以上
前面のスペース…20cm以上
背面のスペース…5cm以上
上面のスペース…20cm以上(ベランダ天井据付け時は5cm以上)
下面も含めて2方向(機種によっては3方向)の開放が必要です。
三菱電機の場合
左側のスペース…10cm以上
右側のスペース…35cm以上
前面のスペース…20cm以上
背面のスペース…10cm以上
上面のスペース…原則として開放
左右・背面のうち2方向の開放が必要です。
富士通ゼネラルの場合
左側のスペース…10cm以上
右側のスペース…30cm以上
前面のスペース…30cm以上
背面のスペース…10cm以上
前面と左側の開放が望ましいとしています。
エアコン室外機のカバー2種類
エアコンの室外機カバー、と聞いて、人にもよりますが思い浮かぶものは2種類あります。1つは室外機をすべて覆うように取り付ける、箱型のカバー。もう1つは室外機の上部分に取り付ける、屋根のような形をしたカバーです。
実はこの2つでは効果が違います。室外機カバーの本来の目的に即していないタイプもあるのです。 室外機にカバーをかける本来の目的は、直射日光を防ぐこと です。室外機の役目は部屋の中の熱を外へ放出することですが、直射日光のせいで室外機の周囲の気温が高いと、上手く熱を捨てられなくなり、その分電気代がかさむのです。
カバーをかけることで日陰を作り、室外機の省エネ化を図ることこそ、室外機カバーの本分なのです 。箱型室外機カバー(ルーバー)のメリット
箱型のカバーと屋根のようなカバーのうち、箱型室外機カバーはルーバーとも呼ばれています。メリットは大きくまとめて2種類です。外見的なメリットと実用的なメリットがあります。
外見的なメリットは、室外機を意識させない点が大きいといえるでしょう。気にしない方は気にしませんが、いかにも機械といった室外機の見た目を気にする方にとって、室外機を隠せる箱型室外機カバーは便利なアイテムです。箱型室外機カバーは、設置場所に応じて材質や色、形状を選べます。外壁の色調に合わせたカラーリングを選んだり、ウッドデッキとお揃いの木目調を選んだりすることで、周囲と調和のとれた工作物のように見せることも可能です。
実用的なメリットには、室外機の保護、棚としての活用があります。まず、箱型室外機カバーが室外機をすっぽりと覆うことで、飛来物その他による衝撃から守ることが可能です。台風や吹雪などに見舞われやすい地域や時期では、室外機へ水分や汚れが入り込んでしまうリスクを低減することが期待できます。
夏場に直射日光が当たったり、太陽光が反射したりするなど、周囲が高温になって冷房効率が落ちてしまう場所であっても、箱型室外機カバーのおかげで電気代の高騰を防げる可能性があります。
また、室外機や周辺の温度が低い際に暖房運転を行うと、より多くの電気が必要です。吹雪の日には、雪が内部に入ってしまったり、ファンが逆回転してしまったりするおそれがあります。もしも室外機の中が凍結してしまうと霜取り運転が長くなってしまい、寒い中で暖房が効くまで待つことになりかねないでしょう。このようなケースでも、囲い込み型の箱型室外機カバーを使用することで、気温の低さなどから室外機を守り、効率の良い運転が可能です。
室外機そのものと直接的な関係はないものの、棚がついた箱型室外機カバーなら、天板の加工を工夫することで、植木鉢を置くなどしてスペースの有効活用もできます。
箱型室外機カバー(ルーバー)のデメリット
一方で、箱型室外機カバーには、その形状ゆえに生じるデメリットがあります。このデメリットには、メリットと表裏一体となっているものがある点に注意が必要です。
箱型室外機カバーの多くは、室外機をすっぽりと覆ってしまう形状になっているため、直射日光から室外機を守るメリットがある反面、室外機からの放熱を邪魔してしまうことがあります。そのため、せっかく直射日光を遮ることができたとしても、室外機周辺の温度が高止まりして冷房運転時の省エネ効果が期待できないケースがあり、見過ごせないデメリットだといえるでしょう。
同様に、暖房運転時には冷気の放出を妨げることになりかねず、暖房効率に悪影響を及ぼします。放熱がうまくできないと、電力消費量の増加につながり、電気代が増えてしまう事態も考えないといけません。暖房運転時は、周辺温度が低くなり過ぎないように、太陽光が届いた方が良いケースもあります。室外機に負担をかけないことや、省エネ重視で放熱を考慮した箱型室外機カバー選びをするなら、風の通り道を作ってあるタイプを探し、その中からより良く思える物を選ぶと良いでしょう。
箱型室外機カバーのデメリットを考えるうえで、前述のように、室外機が屋外設置を前提として設計されており、カバーなしでの運用が想定されていることが重要となります。先に紹介した各社が定める設置に必要な余白スペースを考えても、すっぽり覆ってしまうことがデメリットにつながる点は否定できないでしょう。
また、適度に雨がかかることで、汚れが洗い流されるはずだったところ、カバーをすることで汚れが落ちないといった点も考えられます。カバーがあることで汚れの度合いが軽くはなるとしても、そのままでは汚れが蓄積されてしまうため、カバーを外して清掃する必要が生じるかもしれません。
エアコンメーカーの見解は?
さて、室外機カバーの使用に関して、エアコンメーカーはどのような見解を示しているのでしょうか。
室外機を殆ど覆ってしまうタイプのカバーについて、ダイキン工業や日立などがエアコンの運転時には外しておくことを推奨しています。室外機をカバーですっぽりと覆ってしまうと放出した熱が逃げて行かず、効率を下げてしまう点を考慮したものだといえるでしょう。エアコンメーカーとしては、あくまでもエアコンを使用しない時期の保護を目的とした使用にとどめて欲しいという姿勢を示しています。
日立では、カバーを使用している間は、エアコンのブレーカーを落としたり、コンセントを抜いたりといった対応を呼びかけています(※1)。
※1 出典:日立の家電品「エアコンのカバーについて知りたいです。」
https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/ra/q_a/post-39.html
デメリットを極力解消する工夫が施された箱型室外機カバーも
箱型室外機カバーのデメリットを極力解消するための工夫が施されたアイテムなら、エアコンを使用する時期であってもカバーを外さなくてすむ可能性が高くなります。前述した、風の通り道を作ってあるタイプです。
代表的な例として、室外機を覆う外枠のルーバーが向きを変えられるようになっており、時間帯によって調節することで、日光を遮断しつつも空気の循環は極力邪魔しないで使えるタイプが挙げられます。また、吹出口や吸込口の側がメッシュになっているタイプなら、風の通り道が確保されているといえ、常時使用が可能です。
屋根型室外機カバー(トップカバー)のメリット
屋根型の室外機カバーは、箱型と違って室外機の上にサンバイザーのように日よけを作るだけのものが多いです。その見た目の通りトップカバーなどとも呼ばれています。
こちらは 「日陰を作る」ことに特化したつくりですので、室外機カバーの本分である「日陰を作り周囲の気温を下げること」を最も効率よく遂行することができます 。室外機を覆うことがありませんので、放熱の邪魔をする心配はまったくありません。
箱型室外機カバーと比べて本当に日よけの効果があるのか不安になるかもしれませんが、室外機にあたる日差しの向きと、屋根型室外機カバーのサイズさえちゃんと確認すれば何も心配は要りません。また、1つあたりの値段が箱型室外機カバーの3分の1以下で購入できる場合があり、そういう意味でもエコと言えます。
屋根型室外機カバー(トップカバー)のデメリット
一方で屋根型室外機カバー箱型室外機カバーと異なり、基本的に日よけをするだけの簡素な造りをしています。そのため室外機を隠すことができないので、見た目を気にする方からすると少し物足りないかもしれません。
当然ながら屋根の上にものを乗せることはもちろん、室外機の上で棚や植木鉢を使ったガーデニングもできませんので、見た目の方面から考えると自由度は低いと言えます。また、箱型室外機カバーのように室外機を覆いませんので、大雨を防いだり、砂や枯葉、昆虫などの異物からの防御もできません。
とはいえ、これらのデメリットは全て箱型室外機カバーと比較した時のものです。日よけを作って省エネ化を図るという室外機カバーの目的を考えると、デメリットと呼べるほどのものはないと言えます。
室外機カバーの目的は日よけ。カバー以外の対策とは?
ここまで述べてきた通り、 室外機カバーの本来の目的は日よけ です。すなわち、室外機カバーでなくとも日陰さえ作れれば問題はないのです。例えば以下のようなものが挙げられます。
すだれ、よしず
室外機の上にすだれなどを固定して垂らせば簡単に日よけができます。紐をくっつけて斜め前方に垂らすなど、室外機の放熱を全く邪魔しないように作れれば理想的です。
フェンス
少々かさばりますが、直射日光があたる方面にフェンスをおけば完全な日よけになります。ある程度の大きさのフェンスを選べば日が当たる心配がない分、室外機カバーより確実な方法と言えるでしょう。
エアコンの室外機にカバーをつける目的はあくまで日よけを作って熱を逃がすことですので、カバーにこだわらずとも、上記のように工夫することは可能です。自宅にあるもので、意外と簡単に日よけできてしまうかもしれません。
デメリットの少ない室外機カバーをDIYで自作できる?
箱型室外機カバーにデメリットがあるなら、デメリットの少ない室外機カバーを自作すればよいのではないかと考える方もいることでしょう。また、既製品の室外機カバーに良い商品が見つからない、気に入ったアイテムがないといった場合にもDIYが考えられます。
室外機カバーのDIYにチャレンジする方も少なくないようで、天板と四隅部分だけを主に囲うなど、主要な部分だけのカバーを実現することが可能です。DIYなら、ルーバーの間隔を広くして風の通り道を確保したカバーや、おしゃれでデザイン性の豊かな変形カバー作りも自由にできます。また、天板部分へ好きな物を乗せたり、必要なときだけカバーできるように可動式の囲いにしたり、といった自作例もあります。
材料は角材やベニヤ板、1×4材、さらには「すのこ」など、ホームセンターで手に入る物が主流です。簡単でも構いませんので、自分なりの工夫ポイントを盛り込んだ設計図を書いてから作ると良いでしょう。完成イメージをつかみやすくするために、厚紙などで模型を作ってみるのもおすすめです。
<h3 >実は室外機の周囲へ「打ち水」すると直射日光に対抗できる?</h3>
昔は夏の暑い日に、道路に打ち水をする姿をよく見かけました。気化熱を利用した涼の取り方ですが、いまでも自宅の敷地内に散水するケースは珍しくないようです。この打ち水を室外機の周囲に行うことで、猛暑対策になります。室外機に水をかけてもよいでしょう。設置形態にかかわらず、水をかけても問題ない無難な場所は天板です。直射日光が当たって心配なときや、とくに暑い日などに、冷房効率を高める方法として試してみてはいかがでしょうか。
ただし、屋外設置で風雨に晒される前提の室外機とはいえ、ホースで放水するといったケースは別の話になります。水圧の高い手段で水をかけると、室外機の内部に水が侵入し、故障の原因となりかねないため注意が必要です。
室外機への打ち水や周囲への散水を自動で行ってくれる装置も
室外機に水をかけたり、周囲へ打ち水をしたりといった暑さ対策は、効果が期待できる反面手間がかかります。猛暑の時期には打ち水をしても短時間で乾燥してしまい、何度も繰り返さなくてはならないケースもあるでしょう。また、あくまでもピンポイントで冷やす方法ではないため、必ずしも高い効果を得られるとは限りません。
そこでチェックしたいのが、自動で室外機や周囲に打ち水や散水をしてくれる装置です。エアコンの室外機用として用意されている散水装置なら、外気温に応じて室外機側の熱交換器に自動散水することで、冷房運転時の省エネ、電気料金の節減という効果につながります。
散水装置が省エネにつながる大きな理由は、室外機の周辺温度が高く、冷媒との温度差が小さい場合に生じる高圧運転(消費電力が増える)を抑止する点です。
散水装置の導入コストは、外付けの熱交換器など他の方法に比べて安価だといえるでしょう。ただし、排水ルートの確保や、散水することによるランニングコスト、つまり水道代も合わせて考える必要があります。ケースバイケースではあるものの、散水には多くの水が必要です。
また、ある程度の期間にわたり散水を行っていると、熱交換器のフィンに水道水に含まれるミネラルが付着して、性能の低下につながるおそれがあります。そのため、こまめなクリーニングが欠かせないといえるでしょう。
エアコン掃除を頼むならカジタク!
フィルターやカバー部分はもちろん、日ごろお掃除できないエアコンの内部パーツまで分解し専用洗剤で徹底洗浄!エアコンメーカーと独自研修で高い技術力があるので、安心してお掃除をおまかせください!
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