2017年に総務省が発表した就業構造基本調査によると、子供の有無にかかわらず夫婦共働きであると答えた世帯は48.8%と約半数です。それに伴い専業主婦世帯は年々減少傾向にあり、2017年時点では共働き世帯が専業主婦世帯の倍に近い数字になっています。しかし、共働き世帯であっても妻側の家事負担が大きいとする世帯は少なくはありません。そこで今回は、家事の一覧を書き出すことにより、夫婦で分担して作業するコツをご紹介します。
目次
共働き世帯の家事負担の実態
共働き家庭の男女それぞれに家庭での家事負担の割合を調査すると、70%以上の世帯で家事の7割以上は妻の負担であると答えました。
この調査で興味深いのは、夫側の回答では半分程度は家事を負担していると回答している割合が妻側に比べて多くなっている点です。このことから、夫は家事を積極的に担っているという認識をしていても、妻側からするとまだ負担が大きいと感じていることがわかります。
さらには、家事労働をすべて夫が負担しているという世帯に対し、すべて妻が負担しているという世帯の方が多く、どうしても家事の負担は女性側にのしかかってきます。家事分担の満足度についても、男性はとても不満あるいはやや不満と答えた人の割合が5.4%であるにも関わらず、女性は30%以上がなんらかの不満を抱えています。
どのように家事を分担しているのか
この調査で、家事の分担についても質問がなされています。回答から3つのパターンに分類されました。
1つめは、担当を決めきっちりと分担されるものです。洗濯や料理は妻、掃除やゴミだしは夫という大まかな分担や、より細分化した料理のうち調理は妻、後片付けは夫というパターンも見られました。
2つめは、生活や仕事のなどの環境に合わせて柔軟に変化するものです。ある程度分担を決めつつ、帰りが早い方が食事を作り、もう片方が後片付けをするといったパターンで、日によって違うためこまめな連絡が必要となります。
3つめは、完全に妻に家事労働を任せているものです。妻がすでにまとめているゴミを夫が通勤途中に出しに行く家庭もありますが、妻側は夫が一切家事を負担していないと感じる一方で、夫は家事を分担していると考えているケースもあります。
どうすれば夫に家事を分担してもらえるのか
共働き世帯で家事分担を考える際に最も大切なことは、お互いがお互いの仕事あるいは生活環境に配慮をすることだと言われています。出勤時間は何時なのか、残業はどのくらいあるのかといった仕事のスタイルを把握してから分担を決めると軋轢が起こりにくいとされています。
気を付けたほうがよいのが、男女の考え方の差です。女性に比べ、男性は具体性を好みます。早く帰れる方が多くの家事をするといったあいまいな分担をしていると、男性は何をやればよいのかがわかりにくく、結局妻に任せるあるいは指示を待ってしまうなどといったことがありますので、ある程度担当を決めたほうがよいです。
あるいはお互いが得意な家事・苦手な家事がある場合、それぞれが得意な家事を分担した方が上手くいきやすいです
なぜ妻側は自分の負担が大きいと感じるのか
これには、家事労働をめぐる鬱憤が関係しているといわれています。
第一に、家事労働は家族など周囲からの評価が低いことが挙げられます。家事はしなくては生活がまわりません。しかし、家族からは「やって当然」だと評価され、やらなければ文句や非難が起こります。
第二に、家事労働は会社での労働と違い達成感が低いとされています。会社で労働を行えば、対価が支払われます。また、始業時刻と終業時刻があり労働時間とそれ以外が明確に分かれています。しかし、家事は終わりなき労働とも言われ、対価が支払われることもほとんどありません。
特に小さな子供がいる家庭では掃除をした途端また汚され、再びやり直しという光景も少なくはなく、汚れた部屋を見た家族から心無い言葉を投げかけられることすらあります。
名もなき家事とは
妻側が大きな負担だと感じる家事の代表に「名もなき家事」があります。これは2017年に大和ハウス工業が使い始めた言葉ですが、聞いたことがある方も少なくはないでしょう。一般的に誰に聞いてもすぐに思い浮かぶ家事の代表である「掃除・洗濯・料理」ではありませんが、大きなストレス源になりがちなのがこの名もなき家事です。
代表例として、裏返しにされた衣類を元に戻す作業、脱ぎっぱなしの靴をそろえる作業、トイレットペーパーを補充したり交換したりする作業など挙げれば枚挙に暇がありません。
また、せっかく家事を分担していても夫が「掃除機はどこにある」や「ゴミ袋がなくなっている」などと言い、妻側に負担を与えていればそれも立派な名もなき家事です。
名もなき家事をリスト化しよう
それぞれの家庭によって、名もなき家事のリストは大きく異なります。たとえば料理を作るという一つの大きな家事の中にも、「献立を決める」「冷蔵庫の中身をチェックする」「足りない食材を買い出しに行く」などといくつも名もなき家事が含まれています。
主婦あるいは主夫が名もなき家事の代表として挙げているだけでも、溜まったごみを捨てる、アイロン掛けを行う、ベッドを整えるなど30項目にも及びます。この名もなき家事の分類や分担決めに便利なアプリも配信されています。
名もなき家事の確認はもちろん、夫側・妻側というように色分けにより可視化できるため、どちらに多くの負担がかかっているのかということがわかりやすくなっています。また、この可視化は夫に家事負担をしてもらう際に有効な手段です。
家事一覧表を作りチェックをつける、家事マップを作成し家のどこに何があるのかを明確にわかりやすくすることで、夫側のスムーズな家事参加を促すことができます。