カレーや肉じゃがあるいはサラダなど、あらゆる料理のシーンで登場する玉ねぎは、もはや食生活には欠かせない野菜の1つです。そんな日々の食卓で何気なく口にしている玉ねぎにも、実は健康に役立つ栄養がたっぷりと含まれています。そこでここからは、玉ねぎの栄養やその効果、さらに調理方法やレシピなどについて、詳しく紹介することにしましょう。
目次
玉ねぎ特有のニオイや刺激の原因は?
玉ねぎにはニラやニンニクのように、独特の強いニオイがありますよね。これは玉ねぎの細胞に含まれる、硫化アリルと呼ばれる成分によるもの。
また玉ねぎを切ったことのある方ならば、1度は目から涙をこぼした経験もあるはずです。これも硫化アリルが原因。玉ねぎを切ったことで細胞が壊れ、気化した硫化アリルが空気中へ放出されて、目を刺激したことによります。
もしニオイや目の刺激を軽減したいのであれば、玉ねぎをよく冷やしておくのが効果的です。こうすることで、硫化アリルが気化しにくくなるからです。
あるいは20秒ほど電子レンジで加熱するのもよいでしょう。こちらは少々味が落ちるものの、やはり硫化アリルの刺激を弱めることが可能です。
硫化アリルには健康に役立つ色々な作用がある!
硫化アリルの特性については、前述したようなニオイや刺激だけではありません。実は健康に効果的な様々な作用があることも、見逃せない大切なポイントです。
例えば、動脈硬化を予防する作用もその1つ。硫化アリルには血液をサラサラにする性質があるため、血管内に血栓ができにくくなり、動脈硬化をはじめ脳梗塞や心筋梗塞といった、循環器系の疾患予防には効果があると報告されています。
もう1つ忘れてはならない作用は、ビタミンB1の吸収を促進すること。ビタミンB1は新陳代謝を高めたり、神経の沈静化には必須の栄養素です。
もし不足すると、慢性疲労やイライラの原因にもなります。そこで、ビタミンB1を多く含む豚肉や大豆などと一緒に玉ねぎを食べることによって、硫化アリルがビタミンB1の吸収を促し、素早く効率的に疲労の回復や神経の安定化に貢献します。
玉ねぎにもブドウやブルーベリーと同じあの成分!?
玉ねぎには、まだまだ健康に役立つ成分があります。それはケルセンチン。ブドウやブルーベリーに多く含まれる成分として、ポリフェノールがよく知られていますが、実はケルセチンはこのポリフェノールの一種なのです。
ケルセチンには抗酸化作用があるため、細胞の老化を抑制したり、活性酸素で引き起こされる、様々な病気の予防に役立つといわれています。
さらにケルセチンの抗炎症作用によって、アレルギーの緩和にも効果があるといわれます。そのうえ、ケルセチンには脂肪の吸収を抑える働きもあります。
日頃からダイエットに励んでいる方にとっては、ケルセチンを含む玉ねぎを効率よく食事に取り入れるといいかもしれません。なおケルセチンの含有量については、赤玉ねぎのように色の濃いものほど多く含まれているので、ついでに覚えておきましょう。
玉ねぎを調理する際の基本①
ここまで玉ねぎの成分や健康への効果について見てきましたが、その効果を損なわないためには、調理方法にも注意を払うべきポイントがあります。
まずは玉ねぎの切り方です。先述したように、玉ねぎに含まれる有効成分の硫化アリルは、気化しやすいのが特徴です。
したがって玉ねぎを切る際には、硫化アリルが玉ねぎの断面から蒸発して逃げないように、ちょっとした工夫が必要です。それは繊維に沿って縦状に切ること。
玉ねぎの繊維に反して横状の輪切りにして切ると、どうしても細胞を傷つけて、そこから硫化アリルが放出してしまいます。この点、繊維に沿って縦状に注意深く切っていけば、玉ねぎの細胞にできるだけダメージを与えることなく、硫化アリルの放出も最小限に抑えることが可能になります。
玉ねぎを調理する際の基本②
玉ねぎを切った後、いったん水にさらしておく方もいるはずです。確かに、玉ねぎ特有の辛さを抜くには、水にさらすのも一定の効果があるでしょう。
しかしその一方で、大切な有効成分である硫化アリルが抜け落ちてしまうことも、同時に知っておく必要があります。硫化アリルは水溶性の成分であり、5分も水にさらせば水中へ溶け込んでしまいます。
したがって、玉ねぎを切ったら水に浸すのではなく、空気にそのままさらしておくのがベター。実はこの方法であっても、玉ねぎの辛さを抜くことが可能です。
さらに玉ねぎを加熱調理する場合には、切ってから15分ほど空気にさらすことで、硫化アリルとほぼ同じ作用のある、トリスルフィドやセパエンといった栄養成分への変化を促しやすくなります。
毎日の食卓へ手軽に出せる!玉ねぎの栄養効果もUP!
抜群の栄養効果を誇る玉ねぎですが、いつでも手軽に食卓で口にできれば、たいへん便利ですよね。そこで誰でも簡単にできる、玉ねぎを使用した料理を紹介します。
それは玉ねぎと豚肉を使った味噌汁。先述したように、玉ねぎの有効成分である硫化アリルには、ビタミンB1の吸収を促進する作用があります。豚肉にはビタミンB1がたっぷりと含まれているので、まさに玉ねぎとの相性はピッタリ。
準備する食材も2人分であれば、玉ねぎ2分の1と豚肉40グラム、味噌が大さじ1に対して鰹だし2カップ、そして醤油小さじ1だけで済みます。お好みによって、ワカメやカイワレ大根などを入れるのもよいでしょう。作り方については、最初に玉ねぎをくし形切りにして、しばらく空気にさらします。
その間に、豚肉も一口大にカットしておきます。鍋の中へは、鰹だしと醤油そして玉ねぎを投入し、蓋をして加熱。沸騰したら豚肉も入れて、さらに10分ほど煮ます。最後は味噌を溶きながら入れて、ひと煮立ちさせれば完成です。